そうか!亜弓さんと同じか💦でもやめて!
生来(と、いってもまだ14年しか重ねていない時間の中で、ではあるが)、
気持ちを伝達することが人一倍下手な息子である。
…それってどんな子?と聞かれて思い浮かべるのは
下村湖人/著
『次郎物語』
の、主人公みたいな子なのだ。
次郎物語みたいな・・・
寝ショウべンこそ垂れないが、窮すると黙りこみ、食が進まなくなる。そして素直に言葉が紡ぎ出せない…。
『次郎物語』三部の冒頭には、
思春期に差し掛かった次郎の、これまでの生い立ちが書かれているのだが、まるでウチの子のことをレポートしたかのように当てはまる節ばかりだ。
最初は母乳がキッカケで希薄になった母子関係。求めても満たされない太郎の飢餓は、無垢で誕生したであろう心の成長に大きな影響を与える。
ちょっと昔の日本にも互いに通じ合えず、悲しみを背負っていた親子が居たか!
そう考えると、母=Kafuuは心の重心バランスが安定するような気がするのだ。
亜弓さんみたいな・・・
さて今回は、次郎みたいな君が、亜弓さんみたいなことをした話である。
亜弓さん、とは漫画『ガラスの仮面』主人公・北島マヤのライバル・姫川亜弓なのだが。
二人はダブル主演でヘレンケラーを舞台で演じることになり、稽古に臨んでいる際、怒りと寂しさを表現するという難しい場面が展開する。
ここで亜弓さんはヘレンが大切にしていた人形を床やテーブルに叩きつけて怒りを爆発させた直後に手繰り寄せ、ギュッと抱きしめ、今度は人形の髪をクッと嚙み、せつない表情をすることでヘレンの寂しさを表現したのだった。
絶賛!名場面!!
先週の君はスマホで撮影された不適切動画がテレビで垂れ流されていることにイラついていた。とても情けないとも言っていた。
母=Kafuuはもっともらしく、スマホは大人が仕事にも使っている優れた道具である一方で、使い方を間違えたら誰かを攻撃してしまう大きな武器にもなるということ。
将来学校にスマホを持参してOKになった時は上手に使ってほしい、という話を君にしたね。
君は「誰ともつながっていないスマホなんて通信器として価値がないからご心配なく」と、自嘲していたっけ。
だけど帰宅した母=Kafuuが目にしたのは外装がブチ壊され、いわば脳みそと心臓だけになってしまった君のスマホだった。
君の不登校の日々に寄り添ってきたはずの相棒みたいな存在のスマホの残骸だった。
…へー!こんな、夏休みの工作で作れそうなペラベラなパーツ群がスマホを司っているとはっ!!…いやはや…
Google先生も大好きな音楽も撮りためた写真も失ってしまった君が、表情ひとつ変えず黙っている。食もますます細い。もちろん、「なぜ?」の問いには答えてくれない。
・・・・・・眠れない夜、母=Kafuuは1つの考えに到達した。
完全一致ではないにせよ、君のスマホは亜弓さん演じるヘレンの人形と符合しないか?
そうかもしれない!
君はきっと読まないだろうが、この言葉をあえて記しておこう。
たったひとりしかいない自分を、たった一度しかない人生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか
・・・・・・を、もじって母=Kafuuは記そう。
たったひとりしかいない息子に、
たったそれだけのお小遣いの中から与えたスマホを、
ほんとうに生かさなかったら
父ちゃん、発泡酒にしている意味がないじゃないか
ほんとだよ。
ちなみに『路傍の石』の碑は、栃木駅前にあるらしい。見てきてごらんよ乗り鉄の君。