そうか!爺ちゃんの物語が君にリレーされているのかっ!
生来(と、いってもわずか14年分の時間の中での事ではあるが)、
息子はド級の頑固に加え、超絶恥ずかしがり屋なのである。
ある日、爺ちゃんが誕生日プレゼントに好きなものを買ってやろうと言ってショッピングセンターに連れて行ってくれた時のこと。君はホントは欲しいものを頭に描いていたのだが、爺ちゃんが連れて行ってくれたその場所にソレは無かった。
選べない君に「またか!」という困り顔の爺ちゃん。
別の店に行ってみたい、とか、甘えたことは言えない君に「なんでもいいじゃないか」とは言えない爺ちゃん。
二人の間にどんどん時間が流れ、気持ちがささくれ立っていく!
こりぁまずい!まずい展開だ!そろそろ助け船を出さねばならないだろうか?と
母=Kafuuが冷や汗をかき始める頃、君は
「もういらない、もう帰る」とヘソをまげてしまった。
可愛くない孫の言動ではあるが、爺ちゃんは強かった!
「じゃあ、二番目に欲しいものを二つ買ってやるから選びな」
わお!
めでたく一番じゃなくて二番目に欲しいものを二つも手にした君は
満たされた表情でプレゼントを手にしていたっけ。
でも、君が一番に欲しかったもの、って、その後手に入ったのかな?
それはそれとして、今回は君を応援してくれている爺ちゃんのことを記してみようと思う。
爺ちゃん達の少年時代は、それこそお腹いっぱい食べられなかった時代。疎開先で肩身の狭い思いをしながらいつも空腹に耐えていた。頑張ることが当たり前。畑仕事に家事仕事、勉強、やってもやっても評価されなかった。くず拾いをして小遣いを稼ぎ、14歳の冬、爺ちゃんは一枚の切符を手にして都会を目指して家出したという。
母のぬくもりも、父の養護も、もう不要だったという。
その後、たった一人で生きる術を模索し生きてきた爺ちゃんは職人になった。
しかし経済成長の波が押し寄せたときに技術だけでは埋められなかったのが知識だったという。14歳になった息子の知識にサポートされ、コンピューター付きの機械をなんとか導入することができた爺ちゃん。
自分の選択に悔いることなく突っ走ってきた爺ちゃんが、はじめて気づいた自分に欠けているもの。勉強。知識。
その後、息子たちには勉強の機会は逃すなと強く言い聞かせ育てた。
仕事を継ぐから学歴は要らぬという息子たちの言葉を突っぱね、そうはさせなかった。ひとりで仕事を続け、看板を下ろした。
なんという頑固さ!
そうか!似た者同士の祖父と孫ではないか!
母=Kafuuは君の心の核の部分を一番理解しているのは、もしかしたら爺ちゃんなのかもしれないと思っている。
そして14歳の孫である君に今、爺ちゃんは何を望むだろう?本当のところを聞かせてもらいたいと思う。いや、恥ずかしがり屋の爺ちゃん、答えてはくれないだろうが…。