そうか。季節が一巡したんだ。
生来(といっても、まだ14年の時間を重ねただけなのだが)頑固な息子が不登校になり、11か月が経過した。
14年分の11か月。
分母が小さいだけに、分子が100日を数えるまでの母=Kafuuの焦りは激しかった。
焦りと怒りの超特急
無口で自分の考えを口することが苦手。しかし真面目。ズルをしない。一年時の欠席日数ゼロ。日々部活に打ち込み、始まったばかりの青春を味わっているに違いない・・・さあ、二年生も!
・・・そう展開していくだろうと思い込んでいた君の日常の化けの皮がズルズルと剥がれ落ちていく。
「なんで?」
聞いたって返事が返ってくるわけがないのは、わかっているのに口をつくのはそればかり!
身体の不調が不登校の原因ではないことがはっきりすると、焦りはやがて怒りに姿を変え、君に向いた。
毎朝出勤前に激しく衝突を繰り返した。
ガラスが割れた。
ドアが蹴り破られ、クローゼットの扉に穴が開いた。
壁に本が突き刺さった。
何枚も皿が割れた。
君を引きずりだして玄関のたたきに突き落とした。
もはや君にとって家は安全にひきこもれる場所ではなかったのだろう。
頻回なプチ家出現象。歩く。歩く。歩く。そして電車で遠くへ。
夜半、満開の桜の木の下でうずくまっている君を見つけた時は、安心するどころか
劇画かよ<`ヘ´>!と、母=Kafuuの怒りは絶頂に達した。
「なぜ登校しない~っ?!」と母=kafuuが叫べば
「わからない~っ!」と君が絶叫する。
親子のやりとりは何一つ解決の糸口にはならなかった。
怒りから下車。不安へ乗り換える。どっちもイヤ~っ!
初夏。仕事から帰宅すると息子の部屋の窓はシャッターが閉められ、内側から板を打ち付けられてドアが開かない。
籠城だ。
幸い、不登校児の母=Kafuuには相談をする先をいくつか見つけることができていた。しかし、当事者である君はいつもひとり。
答えを導いてくれる誰かのもとへ、君を連れて行かねばならない!
ふり者(ばかもの)の私であるが、この時ばかりは必死に考えた。
母=Kafuu ではない誰かのもとへ。
それにしても、籠城して外部とのつながりを拒否する息子を、どうやって誰かの元に連れて行けばいいのだろう?神様・・・!!
高幡不動の住職さんの説法を聞かせて護摩を焚いてもらおう!と、
本気で考えた母=Kafuuはドアを蹴破り、
嫌がる君を車に押し込みアクセルをふかしたのだが・・・
途中の信号待ちで君は車から飛び出し、振り返りもせず一目散に逃げて行ったよね。
カウンセリングに連れ出そうとした際も、しかり。
夜半、君を見つけるまでの時間は、不安だった。
山梨、神奈川、千葉、埼玉と行き来する.君の携帯のGPSと終電の時間をジリジリしながら眺めていた。
君は何から逃げているのか?
私は、君を何処へ連れ戻そうとしているのか?
思考の目的地がわからないまま、誰かと君を会わせたくて、繰り返し君を助手席に押し込み、君は繰り返し逃げまくった。
そんな失敗続きのなかで、家から連れ出せない君と、奇跡的に会ってくれた人たちがいる。いただいたアドバイスを忘れないうちに記しておきたい。
思考を各駅停車に切り替えさせてくれたアドバイス
公設民営フリースペースえん代表
/西野先生
お家が安心で一人で居られる場所なら、それが一番じゃないですか!
お母さんは、心から息子の自由な成長を望んでいるだろうか?
ウソ偽りなく本当に望むなら、お母さんの行動は洗練されてくるはずです。
多くは要らないのです。たった一人の信頼できる大人に出会う事さえできたら、自ずと息子は人生をまた踏み出します。
まずはお母さんが焦らないことだ。
そしてね、息子はココ(フリースペース)には通わなくても大丈夫な感じがするな💦
お家で安全に暮らせることがまず大切。
いちばん反省させられた言葉。
総合教育センター/臨床心理士
息子さんには部活の後に友達とラーメン食べてくるような、
そんな青春はやってきませんよ。
本人は、そんな将来を求めて成長しているわけではありません。
友達とラーメン食べて来て欲しいのは、お母さんですよね?
息子さんの人生はお母さんの時間とは違います。
息子さんの本質は、変わりませんよ。群れには戻らないです。
いちばん悲しかった言葉。
児童相談所/児童精神科医
息子さんが再び外に出て行く為の練習として、
定期的には通所する場所が必要だと、お母さんが求めているなら、
ココに通わせてください。
コミュニケーションの練習として話し相手になります。
しかし、
守秘義務がありますから彼と私の会話はお母さんには全てはお話しできません。
待ち遠しくお守りにしている言葉。そのときが来るのを待っている。
特定非営利活動法人/臨床心理士、認定心理士
彼は、お母さんがいつも先回りしたせいで、負けたり失敗したりする経験値が足りなかったのでしょう。
そんな彼の1面は、わずか3歳児のまま置き去りになっている。
しっかり失敗して、しっかり考えて今度は自分の意志で選んで進む訓練を今からしましょう。
失敗しながら訓練は始まっている。
そうか!君は、私ではなかった。
君の人生をけん引するのではなく、後押しこそ親の務めだった。
気づきとともに、母=Kafuuのイケていなかった育児を反省している。
今更だけど。